パーマの中間処理はクエン酸リンスで髪を弱酸性に!
2017/08/04
パーマの中間処理について
パーマの中間処理と言えば中間水洗と中間酸リンスのことを言います。
パーマにおいて一番面倒くさい作業は、もうこれ中間処理なんですよね。
1剤を塗布して時間をおいて、中間処理して2剤を塗布する。
中間水洗はもちろん、中間酸リンスもした方がいいし「いったいどんだけタオル変えなきゃいけないんだよ!」っていうぐらいびしょびしょになります。
でも、そんな中間処理はパーマにおいて重要レベルで言ったらMAXに重要なんですよね。
細かいこというと、薬事法的には中間処理なんてのは認められてないのですが。
美容業界の薬事法なんて規制緩和もあったりでグレーだし、理論的には中間処理が必要なのは間違いないと思います。
中間処理の重要性について説明すると、行う理由よりも行わなかった時のデメリットが多いので、そこを説明します。
まずは中間水洗からいきますね。
中間水洗を行わないとどうなるか?
中間水洗をしないと、毛髪内部に残留したパーマ1剤の還元剤とアルカリが2剤と反応し、還元剤のS(シスチン)と髪のSが結合してしまいます。
結果的に混合ジスルフィドやランチオニン結合が生成されてしまうのです。
ちょっと難しいですが分かりやすくいうと、結果的に髪へのダメージが増えるのみならず、後にパーマがかからない損傷毛になってしまう。
さらにはパーマの残臭にもつながります。
この化学反応を完全になくすことは無理ですが、最小限に抑えるために中間水洗をしっかり行うことが必要なのです。
どれぐらいしっかり流すかというと、しつこいぐらいよく流すのがポイント。
でも前述したように、タオルの問題もあるしなかなかやりづらいですよね。
理想的にはシャンプー台でガンガン流すのが一番ですがそれはそれで色々問題があります。
セット面で行う場合には、アプリケーターで塗布してタオルでギュッと吸収させて、これを何回か繰り返すのがいいのではないでしょうか。
ところで中間水洗を中間酸リンスで代用できるか?
ということなんですが、答えは、できません。そもそも中間水洗と中間酸リンスは目的が違います。
- 中間水洗は、パーマ1剤を洗い流すこと。
- 中間酸リンスは、phを酸性に傾かせて2剤のかかりを良くするもの。
中間水洗を中間酸リンスで代用しようとすると、酸リンスを塗布した途端にphが下がり、髪の毛のキューティクルが閉じてしまいます。
閉じた状態では毛髪内部に残留している還元剤やアルカリは取り除きにくくなってしまいます。
やはり中間水洗をした後に中間酸リンスをするという二工程が必要で、そして中間水洗は普通のお湯か水でやるのが一番です。
美容室では『バッファー剤』とか『バッファー効果がある』という言葉が良く使われます。
パーマの中間酸リンスやカラーリング後の処理剤に対してバッファーという言葉を良く使います。
バッファーはどういう意味か?
まず単語を調べてみました。
buffer…やわらげる。緩衝する。
美容室で使われているバッファーという言葉は、髪のpHがアルカリ性に傾いている状態を酸性にもっていく、pHを落とす意味で使われているようです。
pHを酸性にする薬剤のことをバッファー剤というの?と思っていましたが、正式には少し違うようです。
バッファー剤は、バッファー作用のある薬剤をさします。
先ほど記述した通り『やわらげる、緩衝する』です。
やわらげる作用のある薬剤というと、アルカリ性から酸性にすることと判断しがちですが、正しくは『同じpHを保とうとする作用』です。
バッファー剤は同じpHを保とうとする作用を持たせてある薬剤です。
つまり、クエン酸などの酸リンスにバッファー作用を持たせることにより、“pHを酸性に傾かせすぎないように穏やかに作用させる”というのが答えになります。
最初は単純にpHを落とすクエン酸などをバッファー剤だと思っていましたが、そうではありません。
落としすぎないようにする作用を持たせてあったんです。
パーマの中間処理のクエン酸リンスにしても、カラーケアシャンプーにしても、アルカリ性に傾いた状態を急激に酸性にしすぎないようにする作用のあるクエン酸などをバッファー剤と呼びます。
その仕組みですが、例えばクエン酸であれば、そのままクエン酸だとpH2ぐらいの強酸性なので、クエン酸にその塩であるクエン酸Naを合わせて配合し、pHを急激に落とし過ぎないようにつくられています。
クエン酸そのままでは強酸性なので、髪の毛が収れんしてキシんでしまいます。
髪の毛に良いのはpH4.5~5.5あたりの髪の等電帯とよばれる弱酸性がベストです。
パーマ2剤と中間処理の関係性
パーマ2剤は主に2種類で、通称ブロム酸と呼ばれている臭素酸塩(NabrO3) と通称過水と呼ばれている過酸化水素水(H2O2) があります。
これらは薬事法認可の分類の違いがあります。
- 臭素酸塩…医薬部外品、化粧品
- 過酸化水素水…医薬部外品
こうしてみると、過酸化水素水のほうが強くて効果があるんじゃないの?と思いがちですが、実は分類の違いと強さは必ずしも比例するわけではなく、単に薬事法上の分類が違う程度です。
臭素酸塩と過酸化水素水の違い
反応時間 | 仕上がりの質感 | |
臭素酸塩 | 10~15分 | 弾力があり、柔らかい |
過酸化水素水 | 5分 | 弾力が少なく、やや硬い |
明らかに実感出来るかというとそこまでの違いはありません。
これはあくまで理論上の話で、所詮はどちらも酸化剤に変わりありません。
それに2剤にもコンディショニング成分が配合されているものも少なくないため、その影響の方が強いこともあります。
- 仕上がりの質感重視なら、臭素酸塩。
- 作業効率を重視するなら、過酸化水素水。
臭素酸塩がなぜ弾力があるのかというと、毛髪内部への浸透性が高く、反応後に塩が毛髪に残留するためハリが出ると言われています。
それぞれ作業工程に注意する点があり、それが中間酸リンスです。(中間水洗とは違いますので注意)
パーマ2剤別による中間処理の方法
臭素酸塩と過酸化水素では、パーマの中間処理の仕方が異なりますので注意が必要です。
臭素酸塩は酸性領域において酸化促進されるため、臭素酸塩を使用する前に毛髪のpHを酸性に寄せる必要があり、中間酸リンスを使用しないとウェーブ力や持続力が悪くなります。
一方、過酸化水素水はアルカリ性領域において酸化促進されるため、臭素酸塩と同じタイミングで中間酸リンスを使用してしまうと逆にウェーブ力や持続力が悪くなります。
それなので、2剤別で作業工程がこのように異なります。
- 臭素酸塩…1剤 ⇒ 中間水洗 ⇒ 酸リンス ⇒ 2剤(臭素酸塩)
- 過酸化水素水…1剤 ⇒ 中間水洗 ⇒ 2剤(過酸化水素水) ⇒ 酸リンス
なお、2剤だけではアルカリ性に傾いた髪を酸性にすることはできません。
2剤はあくまで酸化剤なので、髪の毛を酸化させることはできてもpHを酸性にするものではないのです。
もちろん2剤そのもののpHである程度酸性に傾くということはあります。
なお、臭素酸塩と過酸化水素水を混ぜてしまうと、有毒ガスが発生しますので禁止されています。
医薬部外品のパーマ剤は1剤と2剤セットで使用するようになっていますので注意して下さい。
まとめ
以上がパーマの中間処理と2剤の関係についてでした。
パーマのミスは2剤の酸化不足がとても多いので、このような薬剤理論を知っておくと応用が効きます。
2剤によって中間処理の仕方を変えたり、場合によっては2剤を2度付け3度付けするのも効果的です。
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